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ボウエン嬢と夢見るイヤフォン

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映画レビュー 「シビル・ウォー / キャプテン・アメリカ」

CIVIL_WAR.jpg

シビル・ウォー / キャプテン・アメリカ (原題: Captain America: Civil War)」を
4月29日に観てきました。

以下ネタバレなしのレビューです。




数々の危機を救ってきた“アベンジャーズ”が、国連の管理下に置かれることを巡り、
激しく対立するアイアンマンとキャプテン・アメリカ。

さらに、ウィーンで起こった壮絶なテロ事件の犯人として、
キャプテン・アメリカの旧友バッキーが指名手配されたのを機に、
アベンジャーズのメンバーは大きな決断を迫られる。

過去を共にした無二の親友か、
未来を共にする仲間たちとの友情か。

ふたつの絆で揺れるキャプテン・アメリカがある決断をしたとき、
世界を揺るがす“禁断の戦い(シビル・ウォー)”が幕を開ける。

公式サイトより



と、あらすじはこんな感じ。


個人的に本作は「キャプテン・アメリカ / ウィンター・ソルジャー」と
アベンジャーズ / エイジ・オブ・ウルトロン (以下AOU)」の
二作品の続編であるような印象を受けました。


本作を観てから過去の作品に戻る、
というのも出来るとは思いますが、自分はあまりお薦めしません。

約8年分の映画の積み重ねがある、というと
ここから観てみようと思ってる方は少し気が重くなるかもしれませんが、
そういった風に思ったので念の為。



クリス・エヴァンスもロバート・ダウニー・Jrも、
さすが何年も演じているからか、それぞれ素晴らしかったです。

ここまで来ると彼ら以外の役者が思い付かなくなりますね。

その他大勢のメンバーもみな、とてもよかった印象です。
単体としてだけではなく、それぞれの掛け合いにも光るものがありました。



話自体に関してはいろいろと思うことがあります。

まず最初に自分の結論を述べておくと、
マーベルの最高傑作! とまでは思えませんでした。

悪い映画ではないですし、むしろとても良い映画なのですが
なんだか本作に関しては観客の全体的な反応とほんの少しだけ違う気がします。

詳しくはネタバレになってしまうので、
また最終的な評価点を出したあとに書きます。

そのネタバレ込みで説明すれば、
ちょっとだけこちらの意見も通じやすいかなと思うので。



この人数のキャラクターを扱いながらも、
上手いバランスを見つけた脚本は純粋に感心します。

特にトニー・スタークとスティーブ・ロジャーズの二名は、
これまで以上に人間味がありました。

どちらも正しく、どちらも間違っているように思える塩梅で
ここまで描き切ったのはとてつもなく苦労したんだろうな、と。


マーケティング戦略として、
どちらのチームにつくかということをやっていましたが、
本当どちらも正しいことを言っているので非常にグレーな感じです。

あるシーンのキャプテン・アメリカがとてもよく印象に残っていますが、
これはネタバレになるのでまた後ほど。



アベンジャーズの活躍によって確かに人々は救われたけれど、
それによって死人も出てしまった、というアングルで来たのはよかった。

というのも一作目の「アイアンマン」の時点でトニー・スタークは大衆に正体がバレていて、
原作の個人情報保護といった内容できたら合わないだろう、と思っていたので。


あくまでこれはキャプテン・アメリカの映画なんだ、と思える理由は
このヒーローたちを政府が管理する条約の妨げにバッキーの存在がちらつくからです。

条約の説明にロス国務長官を用いたのはいろんな意味でよかった。

個人的にMCU作品の中で浮いていた印象の
「インクレディブル・ハルク」とも上手く繋げられましたしね。



ブラックパンサーがどうやって絡んでくるのか、
という不安もあったのですが、よくまとまっていたと思います。

本作のヴィランであるキャラクターとパラレルになっていたところも、
さり気ない部分ではありますが、ディテールにこだわっていた感じです。



さて、条約を切り出すきっかけの一つとなる冒頭のアクションシーンなのですが、
なんというか、見づらい。

ここにきてMCU、まさかの手ブレ風カメラワークですよ。

特にブラックウィドウのアクションシーンは、
何が起きてるのか分からないくらいカメラワークが最悪でした。

幸い第二幕が始まる頃には改善されていましたが、
本当、最初のアクションシーンは何があったんでしょうか。



視覚的なこと繋がりでもう一つ言うと、
若干CGの粗い部分が目立っていた気がします。

AOUと比べて改善されていましたが、
トニー・スタークがアイアンマンのスーツを着用しているとき、
頭部が若干ずれていて物凄く気になりました。

「アイアンマン」の頃と違い、
今ではトニーの顔が出ているときもCGでスーツを作っているので、
やっぱりその辺りは改善点かな、と。



本作のヴィランは賛否両論(いなくてもいいという人が結構いる)ですが、
個人的にはまあ、これはこれでいいんじゃないかな、と。

確かに見た目的に地味で、
更にかなりご都合主義な部分もありますが、
本作のテーマと方向性にはあっていたように思います。



マーベル史上最高傑作、とまでは言いませんが
本当にとてつもなくよく出来た映画だという印象です。

終わり方も、良いです。



評価:

8.5 / 10



以下ネタバレあります。
本編観てきてから読んでください。























正直このネタバレ込みの部分のほうが
長くなる予感がしています。



ソコヴィア条約をこの話に用いたのは
MCU内では一番しっくりくる「シビル・ウォー」編のやり方だったのではないでしょうか。

ほとんど全てのメンバーの身元が割れているわけですしね。

これは単純にアイアンマンやキャプテン・アメリカといった、
隠す気のない人々もそうですが、前作である「ウィンター・ソルジャー」で
ブラックウィドウが情報を流出させてしまったので。


その分まだ正体が分かっていないスパイダーマンを軸にしてくるかな、
と思ったのですが、単にトニー・スタークのキャラクターの新たな側面を描くためでしたね。

まだ本作終了時点ではなんとも言えませんが、
きっとトニーはピーターの中に自分を見たのではないかと。

両親を亡くしたところも、
科学への探求心も似ていますしね。



ここから先、箇条書きで気に入った・気になったところ取り上げていきます。



■アントマン


空港というひらけたところで、対決……。
となるとアントマンが巨大化してジャイアントマンになるのは確実だろうな、と。

「帝国の逆襲」を引用しつつ、
スパイダーマンが彼を倒す部分もよい。



■トニー・スタークとソコヴィア条約

ウィンター・ソルジャーを捕まえたい、
そしてそれを踏まえて条約にサインをするトニー・スターク。

物凄く自然に話に取り入れられているので、
考える暇もなかったかもしれませんが、よく考えてみてください。


ウィンター・ソルジャーは捕えられて洗脳され、
政府の思うままに兵器として様々な任務に向かっていました。

そんな彼を止める為に行動をしようとしているトニーは、
まさしくアベンジャーズを政府の兵器にする条約をサインしたわけです。

なんだかとてつもなく皮肉だな、と思います。



■ロス国務長官

レビューでも書いたように、
彼を使ったのはよかったと思います。

ただ、映画の世界観でレッドハルクになるかどうかは
微妙なキャラクターですね。


彼の紹介している映像が、予告編では他の映画の本編映像だったのが、
この作品の本編ではしっかりリアルな位置から
撮られたものに差し替わっていましたね。



■ソーとハルクとヴィジョン

少しがっかりしたのがMCU全体としての話はあまり進まなかったことです。

確かにトニーとスティーブの間に亀裂は入りましたが、
AOUのエンディングで既にキャプテン・アメリカは新チームと行動していたからです。

もうこの二人は離れていたので、
あまりインパクトがなかったというか。


そんな中で恐らく唯一の今後のヒントが、ヴィジョンでした。


ヒント1 アベンジャーズが原因で人が死んでいるのでは、という台詞。

アベンジャーズがいなかったらもっと人が死んでた、
という意見に半ば反論するような形のこの台詞。

強い奴らがいるから、地球を潰してみようぜ
と思う人たちがどんどん出てくる、といった意味だったのですが、
これは恐らくサノスのことを示唆しているのではないかな、と。


ヒント2 ビーム暴発

間違ってウォーマシンを撃ち落としてしまう部分です。
インフィニティ・ストーンのバランスが崩れつつあるという意味のように思えました。

こちらもやはりサノスの伏線でしょうか。



■コミックの再現

いくつかコミックからそのままのシーンを
引っ張ってきた部分がありましたね。

アントマンがホークアイの矢に乗るのは、
「Avengers」 #223 の表紙の引用。


223.jpg

このシーンは実に53年越しの実写化、
ということになりますね。



映画の終盤、アイアンマンのリパルサーレイを
キャプテン・アメリカがシールドで防ぐシーン。

スローモーションになっていたので、
気付いた方も多かったのではないでしょうか。


7.jpg

「Civil War」 #7 の表紙が元ネタですね。



ペギー・カーターの葬式でシャロン・カーターがするスピーチは、
キャプテン・アメリカの決意を固めることになるわけですが、
このスピーチ、実はキャプテン・アメリカがスパイダーマンに向けたもの
ほぼそのままの文章だったりします。


sharoncarter dialogue

「Amazing Spider-Man」 #537 の一コマ。
まさしくCivil War編での出来事です。

「え、Civil Warなのに作品名はAmazing Spider-Manなのはどうして?」
という方に簡単に説明しておくと。

マーベル・コミックの作品は基本的に全て独立して描かれていますが、
Civil Warといった「クロスオーバーイベント」というのが行われる場合があります。

そうなるとそれぞれの作品もその出来事を描き、
軸となるようなシリーズもその期間中だけ作られる、という感じです。


なのでCivil Warを描いた作品は「Civil War」の#1から#7だけではない、
ということです。含まれる全作品が気になる方はこちらへどうぞ。



少年誌で連載されている作品が全て同じ世界観で、
クロスオーバーイベントが行われたときは全ての作品でその出来事を描き、
更に赤マルジャンプのような増刊号で総括的な話も作る、と言えばいいのでしょうか。

日本の漫画の事情とアメコミ事情は結構違うので、
この辺りの説明が結構難しかったりします。


閑話休題。


他にも細かいところまで、いろいろと引用されてるので
相変わらず丁寧に作られてるな、と思っていました。



■スカーレット・ウィッチとヴィジョン

映画でも二人のやり取りがやたら描かれていますが、
これもコミックのオマージュです。

原作では結婚して子どもも出来るわけですが、
映画ではどうかな、と。

なんだかマーベルの恋愛要素はいまいちな気がします。
唯一の例外は「アントマン」のスコットとホープかな、と。



■何故アイアンマンが戻ってきたか

AOUでの一番の疑問は、
何故「アイアンマン3」の出来事のあとに、
トニー・スタークがスーツを着用しているのか、ということでした。

一切説明されなかったので若干もやもやしていたのですが、
本作の台詞で明かされたのですっきり。

たとえマーベルがヘマをしたことに気付いた故の後付け設定だったとしても
個人的には納得出来るものだったのでよしとします。



■ハワード・スターク

トニーの両親を殺したのがウィンター・ソルジャー、
というのは原作でもそうなのですが、描き方がとてつもなく上手かった。

この瞬間のどんどん空気が張り詰めていく感じは、
さすがルッソ兄弟だな、と。

レビューでキャプテン・アメリカが「非常にグレー」だと言ったのは、
まさしくジーモがこの映像を見せるシーンです。


トニーの父であるハワードは、
キャプテン・アメリカを生み出したので
元々若干の嫉妬があったように思います。

そんな中、ウィンター・ソルジャーが両親を殺すところを目の当たりにし、
スティーブがそれを秘密にしていたところを知る。

台詞はありませんが、この部分のトニーの表情は凄まじいです。
演じたロバート・ダウニー・Jrはやはりとてつもない役者だな、と。


こういった両親を思い出す話が
「アイアンマン2」のあのハワードの映像と繋がるわけです。

公演中に彼は
両親との最後の日を後悔しているように語っていました。

これがスパイダーマンであるピーター・パーカーを
自分が指導しなくては、と思うところに繋がるのではないでしょうか。


ピーターも両親を亡くし、
ベンおじさんと(これは予想ですが)喧嘩したきり
仲直りしないまま死別してしまったと思われるので。



■チームのメンバー構成

個人的に空港のアクションシーンは
本気で殺したい相手がいるキャラクターと、
人数合わせとして呼ばれたキャラクターで本気度に差があるところが好印象。

理由もなく相手陣営に殺しにかかっていたら
違和感を覚えていたと思うので。

なんでこっちのチームにいるんだ?
という意見を見たキャラクターが何名かいたので、自分なりの解釈を。


・アントマン - スタークを信用するな、というハンク・ピムの言葉に従っている。
一度対決した故に存在を知っているファルコンに呼ばれたのも理由の一つ。

・ブラックウィドウ - 本編でも最終的にキャプテン・アメリカを助けるように、
どちら側にもついていない印象です。
死者をどちら側からも出したくない、という理由で行動しているような印象を受けました。

・ブラックパンサー - 父を殺したと思っているウィンター・ソルジャーの命を奪いたいから。

・スカーレット・ウィッチ - 自分の行動を制約しているトニーに不信感を抱いていたというのと、
自分のミスでキャプテン・アメリカを追い詰めてしまったと思っているから。

・ホークアイ - スカーレット・ウィッチにAOUでアベンジャーになるよう
説得したのが彼なので、責任を感じているところがあるように思います。

あとは単純に彼女の双子の片割れに命を救われたので、
同じようにキャプテン・アメリカ側についてると思われます。

家族がいるのも条約に反対する要因かも。



■スタッフロール後

最初のシーンはウィンター・ソルジャーがワカンダで再凍結される部分でした。

彼を求めてやってくる人々と対峙するのが
2018年公開予定の「ブラックパンサー」の内容なのではないでしょうか。

本作の大半では敵同士だった二人が、
仲間として戦うのはなかなか面白いコンセプトだと個人的には思っています。


次のシーンは空港から帰ってきたピーターのシーン。

キャプテン・アメリカやアントマンとの対決を、
普通の喧嘩のように語るピーターも面白いですが、
なんとなくメイ叔母さんは彼がスパイダーマンだと気付いてるような。

あとツイッターでは何度も言いましたが、
メイ叔母さん、この若さのほうが自然ですからね!

ピーター(推定15歳)の父の妹ですから。


原作でかなり老いた女性として描かれた故に、
これまでの映画でもそうやって扱われていましたが。



■今後の展開

ジーモは数少ない作品の最後で死なないMCUのヴィランとなりましたが、
恐らくマスターズ・オブ・エビルを結成するのではないでしょうか。

あの特徴的な紫の靴下(?)を
頭に被るようにはならないかもしれませんけど。

今後ヒドラが敵として出てくることは減ると思います。

本作ではあまり描かれていませんでしたが、
ジーモがかなり彼らを潰したはずなので。



MCUの中でキャプテン・アメリカ三部作の推移は
なかなかに興味深いように思います。

一作目では国の為に尽し、
二作目では国のやり方が正しいか分からなくなり、
三作目では完全に法の外の存在になるわけで。


この後、キャプテン・アメリカは
恐らくシークレット・アベンジャーズを結成するのでは、と思っています。

トニー・スタークはもう自由に動けなくなってしまったわけですし、
何かあればスティーブ・ロジャーズに頼るんじゃないかな、と。

政府がアイアンマンらにはこちらに向かえ、という中
シークレット・アベンジャーズには別の方に向かわせる、という展開もあり得る……かも?


めでたしめでたしで終わらなかったのは個人的には好印象でした。
こうやってメンバーが心身共に離れてしまう、というのは
今後の展開にかなり影響を与えるかと。


しかし、インパクトが足りなかったかな、というのも正直なところ。
死人が(ペギー除いて)出なかったのが意外でした。

なのでフェイズ3の始まりというより、
フェイズ2の終わりという印象のほうが強かったです。

S.H.I.E.L.D. が崩壊したという意味では
「ウィンター・ソルジャー」のほうがインパクトが大きかったかな、と。


そういった意味で、なんだか少し物足りない気がする映画ですし
だから最高傑作とは自分は言えないかな、と思ってます。



そんなわけで長々と書いてしまいましたが、
MCU次回作の「ドクター・ストレンジ」も楽しみですね。

これはもう本当訳の分からない映像が見られる気がしてるので、
今から非常に期待しています。



今回はこの辺で。
ではでは。
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